そもそも蝶や蛾がどういう形態で寒く厳しい冬を越しているかご存じですか?
大体の蝶は蛹で越冬する、と思う方が多いと思いますが実は幼虫のまま越冬する種類も結構多くて、中には成虫の姿で冬を越す蝶も居るんですよ。
それでは日本で最も愛されている蝶のひとつオオムラサキは越冬するときは幼虫、蛹、成虫のどの姿で越冬すると思いますか?
オオムラサキの越冬は幼虫?蛹?卵?
一般的に蝶と言ってイメージされるのは恐らくモンシロチョウやアゲハチョウだと思われますが、そのほとんどの種類が蛹の状態で越冬していることは知っていましたか?
ところが、オオムラサキの幼虫は幼虫の姿で越冬します。
生まれてから三回脱皮して四齢幼虫になった段階で休眠して越冬し、暖かくなってきた春先に休眠から目覚めて活動を再開すると更に脱皮を二回も繰り返し、六齢幼虫を終齢として蛹化に入ります。
オオムラサキの幼虫は木の上に産卵されて生まれるのですが、寒くなってくると木から降りてきて木の根本などの丁度いい場所の落ち葉の下でひっそりと休眠し、越冬を終えるとまた木の上に昇って春に活動を始めるのです。
他の種類との比較
蛹化の仕方にも蝶によって差があり、例えばオオムラサキが属するタテハチョウ科は逆さまにぶら下がる形で蛹化する垂蛹型というタイプに分類されているのですが、そういった風に科によって越冬の形態も異なるのかな?と思い調べてみました。
同じタテハチョウの中だけでも蛹で越すもの幼虫で越すもの成虫で越すものかなりバラバラでした。
シロチョウ科でもモンシロチョウは蛹で越冬しますが、モンキチョウは幼虫で越冬するようです。
ちなみにアゲハチョウ科は全員蛹で越冬します。
蝶の越冬形態が何によって決まっているのか、どの進化の過程で分岐して進化する前はどの形態で越冬するのが多数だったのか、どの形態で越冬することがより進化した越冬の仕方なのかなどまだまだ気になる点はありますが、そういった研究を見つけることは残念ながらできませんでした。
まとめ
調べてみるまで筆者は蝶は全員蛹で越冬するものだと思っていましたので、とても意外でした。
オオムラサキは北海道にも分布すると広く書かれていますが、落ち葉が見えないくらい雪が積もってしまっている時期はどこでどうしているのでしょうか……気になります。