生息環境も限られデリケートなことで有名ながらその美しさと勇ましさを兼ね備えた生態で人気のオオムラサキですが、オオムラサキの幼虫をアゲハチョウやモンシロチョウのように飼育することは可能なのでしょうか?
オオムラサキの幼虫の飼育はかなりの難易度
オオムラサキ自体が指標昆虫と呼ばれ、環境の変化に敏感なことで有名な昆虫なのですが、幼虫もまた飼育が大変難しいです。
色々と調べて見たのですが、無事に羽化して蝶になれた個体よりも遥かに多いオオムラサキの幼虫達が空を飛ぶことなく生涯を終えてしまっていました。
その最大の理由は餌場の整理にあります。
オオムラサキの幼虫の食草はエノキまたはエゾエノキなのですが、この木には水の吸い上げがものすごく悪くあっという間に葉がしなび枝が枯れてしまうという特徴があるのです。
これにオオムラサキの幼虫の気に入った葉に糸で自分の居場所をつくるという特性が重なって、すぐに萎びてしまうのに枝を頻繁に交換すると幼虫が弱ってしまうという理由から幼虫を元気なまま飼育するのは大変難しいようです。
オオムラサキの幼虫飼育は餌が鬼門
調べた中には、枝を水に差してもあっという間に枯れてしまうので特殊な保水性のある園芸用の商品に差してテラリウムのように密閉した空間に入れできるだけ湿度を上げ鮮度を保とうとした人や、直接若木を鉢で飼育してネットをかけて飼育しようとした人がいらっしゃいました。
とにかく先に述べた理由からオオムラサキの幼虫の飼育はまずエノキの鮮度をいかに保つかというところから始まるようです。
ですがその後もネットの隙間からやってきたクモにやられてしまい、エノキにつく特有のアブラムシがアリも呼び寄せてオオムラサキを襲うなど前途は多難です。
そして、そうした数々の苦難を乗り越えた先ですら蛹になるのに失敗することもありますし、何より蛹から蝶へと羽化するのが最大の難関だそうです。
蛹から無事に羽化できた個体が一体も居なかったなんてこともザラだとか。
恐るべしオオムラサキ飼育の世界……。
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冬はこれで腰が、ふくらはぎも痛くなる。エノキの芽吹きまで、約5ヶ月を飼育ケースで少し湿度保ちつつ、日陰の気温の上がらない場所に保管します。 #オオムラサキ幼虫
まとめ
オオムラサキは大変広く愛される日本の国蝶ですが準絶滅危惧種です。
採集できないわけではないですが採集する場所やタイミングなどは各自で責任をもってそれなりの覚悟をもって行いましょう。
あまりお勧めはしません。